適当刊・伴幸一郎の一本勝負

日刊でも、週刊でも、月刊でもありません。「適当刊」です。気が向いた時に書きます。

カルロス・ゴーンは何をしたのとされているのか?

毎日のようにカルロスショック(?)のニュースが流れますが、ゴーン氏は一体何をして、罪に問われているかと言いますと「金融商品取引法有価証券報告書の虚偽記載」。

まず「金融商品取引法」とは、有価証券(株式・債券・手形・小切手等、それ自体に財産的価値のあるもの)の発行や売買等の金融商品取引を公正なものとして、投資家を保護する事や経済の円滑化を図るために、2006年旧証券取引法を改正し成立されました。主に投資性の強い金融商品に対する投資家保護法制の構築、情報開示制度の拡充、取引所の自主規制機能の強化、インサイダー取引など不公正取引への厳正な対応などが定められています。

有価証券報告書とは、上記法律が規定している事業年度毎に作成する企業の外部への情報開示資料である。よく「有報(ゆうほう)」とも言われる。事業年度終了後3ケ月以内に金融庁への提出が義務付けられている。
内容としては、
・企業概況(経営指標。沿革、事業内容)
・事業の状況(業績、経営方針、事業リスク、財政・キャッシュフローの状況)
・設備の状況
・提出会社の状況(株式の状況、配当施策、株価の推移)
経理の状況(連結財務諸表、財務諸表)
・提出会社の株式事務の概要
・提出会社の参考情報(親会社の情報)
・提出会社の保証会社等の情報
・監査報告書

参考に川崎重工業社の2017年度の有価証券報告書のリンクを貼っておくので興味のある方は見てみるといいだろう。
https://www.khi.co.jp/ir/pdf/y_195.pdf

今回カルロス・ゴーン氏はこの有価証券報告書に虚偽の記載をしたか?と言う罪に問われている訳だ。有報の虚偽記載は金融商品取引法の第197条に罰則規定があり「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科する(個人)」、「7億円以下の罰金(法人)」とそれぞれ定めらている。金融商品取引所(証券取引所)の上場廃止基準に該当してしまう。場合によっては株主に損害賠償請求権が発生する事となり、上場企業やその経営陣にとっては、深刻な事態を迎えることになる。

近年では2004年の西武鉄道の有報において、コクド社の持ち株数に関する虚偽記載で当時のコクド会長だった堤義明氏が懲役2年6ケ月、執行猶予4年、罰金500万円が、法人としての西武鉄道に2億円、コクドに1.5億円の罰金がそれぞれ課された。2004年12月を持って東京証券取引所第1部の上場が廃止されている。
有名どころではホリエモンこと堀江貴文氏が社長をしていたライブドア社のライブドア事件も記憶にある人は多いだろう。これも有報の財務内容に虚偽の記載をしたこと(と風説の流布=有価証券の価格を変動させる目的で、虚偽の情報を流すこと)で起訴された。堀江氏は懲役2年6ケ月の実刑判決2011年4月に確定し、6月長野刑務所に収監された。なお堀江氏は一貫して無罪を主張していた事は付け加えておこう。

代表的な例を2つ程ご紹介したが有報の虚偽記載は、2012年に大手光学機器メーカー「オリンパス」、2003年に化粧品大手の「カネボウ」でも、事業の失敗や資産運用の失敗で発生した損失を隠蔽するために利用された事がある。


平成最後にして最大級の経済事件。西川社長は「ゴーン体制の負の遺産」と言うが、じゃあ今まで何をしていたんだ?って話にもなるし、監査法人は?ともなる。

日産の車自体は良い物である。間違ってもディーラーで小言を言うのはやめてほしい物だ。彼らもいい迷惑を被っているのだから。